もう今日から会社に行きたくない――その気持ちは正当です

朝目覚めても体が重く、会社を思うと涙が出てしまう。
「もう、今日から会社に行きたくない」――そう感じている方もいるでしょう。

その気持ちは決して甘えやわがままではありません。長時間労働や人間関係のストレス、正当な評価が得られない職場環境などが原因で、心と体が限界を訴えているサインなのです。

この記事は、そんな極限状態にあるあなたが、自分自身と未来を守るために合法的かつ安全に「今日から会社に行かない」を実現する具体的なロードマップです。

「即日退職」という言葉には2つの意味があります。
1つは、文字通りその日をもって雇用契約が終了するケースです。
もう1つは、法的には退職日が2週間後であっても、今日から出社せずに過ごせるケースです。

多くの方が本当に望んでいるのは後者、つまり「もう職場に行かなくていい状態」でしょう。

本記事では、この「実質的な即日退職」を叶えるために必要な法的根拠、3つの具体的シナリオ、そして注意点を分かりやすく解説します。

助けを求めることは弱さではありません。それは自分を大切にする賢明な選択です。
まずは正しい知識を身につけ、安全な第一歩を踏み出しましょう。

あなたを守る強力な味方「民法第627条」

会社を辞めたいと思ったとき、多くの人が不安に感じるのは「辞めさせてもらえないのではないか」「上司に強く引き止められたらどうしよう」といった点です。けれども安心してください。労働者には法律で「退職の自由」が保障されています。

その最も確かな根拠となるのが民法第627条です。

民法第627条が定める退職の自由

条文の内容はシンプルです。

【民法第627条1項】
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

つまり正社員など「期間の定めのない雇用契約」を結んでいる人は、会社の承諾がなくても退職の意思を伝えてから2週間が経てば契約が終了します。会社が「後任が見つかるまで待ってほしい」「人手不足だから認めない」と言っても、法的には効力がありません。2週間後には自動的に従業員ではなくなるのです。

この法律は、労働者が不当に拘束されるのを防ぐために設けられており、退職する権利を守るのような存在です。追い詰められている人にとって、大きな支えとなるはずです。

就業規則よりも法律が優先される

「会社の就業規則には『退職は1か月前に申し出ること』と書いてあるが大丈夫なのか」と不安に思う方も多いでしょう。結論から言えば、就業規則よりも民法第627条が優先されます。

就業規則はあくまで社内ルールであり、法律の効力を超えることはできません。したがって、就業規則に「1か月前」や「3か月前」と定めがあっても、退職の意思を伝えてから2週間経過すれば法的には退職が成立します。

「2週間」の数え方

この2週間には土日や祝日も含まれます。民法では申し出た当日を含めず、翌日から起算します。
例えば、月曜日に退職の意思を伝えた場合は翌日の火曜日から数え始め、14日後、つまり翌々週の月曜日に退職が成立します。大型連休を挟んでも、暦の上で14日が経過すれば問題ありません。

このルールを理解しておけば、会社からの不当な引き止めに冷静に対応し、自分のペースで退職を進められます。

「今日から出社しない」を実現する3つのシナリオ

民法第627条により、退職の意思を伝えてから2週間経過すれば雇用契約が終了することは理解できたと思います。しかし、心身ともに限界を迎えている場合、その2週間さえ出社するのは耐え難いこともあるでしょう。ここでは、実質的な即日退職を合法的に実現する3つの方法を紹介します。

シナリオ1:【最も安全で確実】有給休暇を消化して退職する

有給休暇が10日以上残っている場合、これが最も安心で理想的な方法です。退職の意思を伝えると同時に、退職日までの有給休暇をすべて申請します。有給休暇は労働基準法で保障された強力な権利であり、会社はよほどの理由がない限り拒否できません。この方法なら給与を受け取りながら、出社せずに退職を迎えられます。

シナリオ2:【交渉次第】会社との合意による即日退職

2週間ルールはあくまで一方的な退職の場合の規定です。会社側が同意すれば、その日のうちに退職することも可能です。これを「合意退職」と呼びます。ただし会社の状況や判断に左右されるため、常に可能ではなく、選択肢の一つとして考えるのが現実的です。

シナリオ3:【例外的措置】やむを得ない事由による即日退職

民法第628条では「やむを得ない事由」がある場合には即時に契約を終了できると定めています。深刻なパワハラやセクハラ、医師の診断による就労困難、家族の緊急介護、給与未払いなどが該当する可能性があります。ただし客観的な証拠が重要であり、判断に迷う場合は専門家に相談するのが安全です。

有給がない場合の即日退職と退職代行サービスの役割

「有給休暇が残っていない」「入社したばかりで有給が付与されていない」といった状況の人も少なくありません。その場合でも実質的な即日退職は可能ですが、個人で実行すると大きなリスクを伴います。ここで退職代行サービスの真価が発揮されます。

「欠勤扱い」で退職日を迎えるリスク

有給がなければ退職までの2週間を欠勤で過ごすことになりますが、これを個人で行うと以下のような問題に直面する可能性があります。

  • 経済的リスク: 欠勤中は無給となり、2週間分の収入が失われる。
  • 懲戒解雇のリスク: 無断欠勤とみなされ、重い処分を受ける可能性がある。
  • 精神的ストレス: 上司や会社からの連絡が絶えず、休むこと自体が難しくなる。
  • 損害賠償請求のリスク(まれ): プロジェクト中断などで会社が損害を主張する場合がある。

退職代行が「防波堤」になる理由

退職代行サービスは単なる伝言役ではなく、リスクを最小限に抑える交渉役として機能します。

  • 懲戒解雇の回避: 欠勤が正当な理由によると伝え、無断欠勤扱いを防ぐ。
  • 連絡の遮断: 「本人への直接連絡は禁止」と伝えることで精神的負担を軽減する。
  • 事務手続きの円滑化: 離職票や源泉徴収票など必要書類の発行をスムーズに進められる。

有給がある場合の退職代行は便利なサービスですが、有給がない場合にはリスク管理のための必須手段となります。わずかな費用で重大なトラブルを避けられるなら、それは極めて合理的な選択と言えるでしょう。

退職代行依頼後の流れ:もう会社と話す必要はありません

「退職代行を利用する」と決めても、具体的に何が起こるのか分からないと不安に感じる方も多いでしょう。ここでは依頼ボタンを押した瞬間から退職が完了するまでの流れを、時系列で説明します。

フェーズ1:相談から依頼まで(最短30分で完了)

多くの退職代行サービスはLINEや公式サイトから24時間相談できます。状況を伝えると担当者が必要情報をヒアリングし、料金に納得したら支払いを行います。このやり取りは非常にスピーディーで、30分ほどで完了する場合もあります。

フェーズ2:代行業者が会社へ連絡

依頼が完了すると、指定した日時に業者が会社へ電話をかけます。内容は「本人が退職代行を依頼していること」「民法627条に基づき2週間後に退職すること」「有給や欠勤扱いの希望」「今後の連絡はすべて業者を窓口とすること」です。この一報であなたと会社の間に壁ができ、直接対応する必要はなくなります。

フェーズ3:自宅から行う手続き

退職届を作成し、郵送で提出します。貸与品(健康保険証やPC、社員証など)も宅配便で返却します。私物がある場合は業者が会社に依頼し、自宅に送付してもらえます。

返却物チェックリスト

返却アイテムチェック ✓備考返却方法
健康保険証扶養家族分も忘れず返却郵送(簡易書留)
社員証・IDカード郵送
名刺顧客分も含む郵送
PC・タブレット・充電器データは消さず返却宅配便
社用携帯宅配便
制服・作業着クリーニング要確認郵送
通勤定期券郵送
法人カード郵送(簡易書留)
備品・書籍郵送

フェーズ4:退職完了と必要書類の受け取り

退職日を過ぎれば正式に退職が成立します。その後、2週間から1か月程度で離職票、雇用保険被保険者証、源泉徴収票、年金手帳などが届きます。届かない場合も業者が会社に督促してくれるため安心です。

失敗しないための最終チェックリストと注意点

安全に退職を進めるためには、いくつかの重要なポイントを事前に確認しておく必要があります。ここでは特に意識すべき4つのチェック項目をまとめました。

1. サービス選びの基準を明確にする

退職代行には「民間企業」「労働組合」「弁護士法人」の3種類があります。有給休暇の取得交渉など会社との交渉が必要な場合は、必ず労働組合または弁護士法人が運営するサービスを選んでください。民間企業が交渉を行うと「非弁行為」とみなされ、失敗につながるリスクがあります。

2. 会社からの直接連絡には応答しない

退職代行を利用した場合、会社や上司から直接連絡が来ることがあります。しかし応答してしまうと、業者が築いた「壁」が崩れてしまいます。連絡があったら必ず無視し、すぐに代行業者に報告してください。

3. 貸与品を事前にまとめておく

退職代行に依頼する前に、会社から借りている物を一箇所にまとめておくと、その後の返却がスムーズです。すぐ発送できる状態にしておくことで、余計な不安を減らせます。

4. 無断欠勤やバックレは絶対にしない

どれほど辛くても、連絡もせずに出社をやめるのは避けてください。懲戒解雇処分や家族への連絡など、最悪の事態を招く恐れがあります。退職代行は法的に守られた正規の手段ですから、必ず専門家のサポートを利用しましょう。

逃げることは、自分を守るための賢明な選択です

ここまで読み進めていただき、ありがとうございます。
「もう今日から会社に行きたくない」という気持ちは、決して弱さや逃避ではありません。それは、これ以上傷つかないために自分を守ろうとする本能であり、新しい一歩を踏み出すための賢明な選択です。

あなたには法律で保障された退職する権利があります。有給休暇の活用や退職代行サービスを利用すれば、実質的な即日退職は合法的に実現できます。大切なのは、危険な方法を選ばず、安全な仕組みを活用することです。

あなたは一人ではありません。法律と専門家のサポートを味方につければ、この苦しい状況から抜け出し、心穏やかな日常を取り戻すことができます。未来への道は必ず開けています。

次のステップへ

あなたの状況に応じて、次の行動を選びましょう。

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